2005-04-20 深夜徘徊 Text 夜。雨。粘り着く重たい空気。 遠いタクシーのうなり声と、サイレンのドップラー音。 小道の向こうの、安っぽいバーのドアが開いて一瞬流れる、下卑た笑い声。 見慣れた場所で偶然に見える、見知らぬ無線LANネットワーク。 詮索するでもなく、必死に無視するでもなく、ただそこに流れている高速の無関心。 「干渉の制御」は「感傷の制御」。 アンテナゲージが、誰かの息づかいのように強弱を繰り返す。 もしそれが寝息なら、せめて明日の朝までは、どうか静かな休息を。