New Orleans
名前を付けてしまうと、変に愛着が湧いてしまうらしいけれど、時にはそれが憎しみの象徴にもなる。前回印象的だったのは、確か『よくやってくれたぜ!Andrew!』だった。
http://www.cnn.com/interactive/us/0509/gallery.katrina.people.today/frameset.exclude.html
ハリケーンKatrinaのニュースを、大して荒れもしなかった14号台風のそばで、呑気にピザのデリバリー頼もうとして断られたまったく危機感のない私。ふーん、Amazonの防災グッズの品揃えもいまいちだな。
仮の避難所がSuper Domeという皮肉。場所の重みこそ違え、掲げられている国旗は、武道館の日の丸と同じなんだよね。臭いと湿気が伝わらないこっち側で、その酷さを想像して吐き気が出そうだ。自分があの場所をあてがわれたとして、どうやっていけるんだ?
救助活動中のボートで、警官が構えている銃はワニのためだけか?無人のスーパーマーケットから略奪してきた食料品を、見ず知らずの人に配っている男を責めることはできるか? 9.11の時に勇敢にも身を挺した警察官たちに、大量の離職者が出ているのはなぜ? そもそも、カメラが見ている以外の場所では、本当は何が起きていた?
New Orleansが歌詞に出てくる歌は、Martha & The Vandellas "Dancing in the Street"と、The Rolling Stones "Brown Sugar"、U2 "Stay (Faraway, So Close!)"だけしか今は思い出せないけれど、抑圧された黒人社会をルーツとして生まれた様々な音楽的要素に、東洋の島国の一人も有形無形の恩恵を享受しているのは事実。そう思えばとても複雑だ。
アッラーの怒りなのか、京都議定書拒否のしっぺ返しなのかは分からないが、世界最強国家で起きた天災と人災とを、信じられない思いで見る。スマトラの津波の後は、ここまで阿鼻叫喚だったか? 世界の警察は、New Orleansの裏側にまで派兵して、それでいて足下をすくわれている。決壊したのは堤防ではなく、人種問題と政府への信頼。『Live 8』が「過去のモノにしよう」と宣言していた貧困は、未だに世界最強国家の中にすら深く根付いていたという紛れもない事実。
そのことにとてもやりきれない思いを感じずにはいられない。寄付には1円も回らないことを後で知った、ホワイトバンドしてる中学生みたいな、そんな感じ。
じゃあ、やっぱり日本のiTMSでも募金やってもらっていいんだけどな。New Orleansにゆかりのある曲が買えたりしたら、ますますいいんだけど。