豊かなる土地

「Scrap Heaven」の栗山千明にかなり心動かされつつそっちはパスして、本当に久しぶりにWendersの作品を見る。アメリカの貧困と偏執、愛国心をテーマにしたロードムービー「Land of Plenty」。

Land of Plenty
http://www.landofplenty.jp/

変化という概念を生きながらえさせ、変化の必要を喚起すること、それが映画にできる最も政治的なことだと思う。

Wenders作品というだけで見に来たんだから、別に政治的なプロパガンダを期待していた訳ではなかったけれど、制作ノートの彼の言葉全てが、制作から2年経過した今でも重要な意味を持っている。アメリカ人ではない彼が描き出すアメリカの痛みが、日頃自分が感じていたこととあまりにもシンクロして体の奥が痛かった。

誰の言葉だったか、『全ての芸術は、映画に激しく嫉妬している。』という台詞を思い出す。こんな作品を、たった16日と数万ドルの予算、小規模なスタッフで撮ってしまうWendersはやっぱり凄いよ。本人が舞台挨拶に来たりする東京って、こういう時は羨ましいな。