Eagles: Farewell Tour I-Live from Melbourne

悪くはない。
それが素直な感想。

曲目も演奏もいい。会場の雰囲気も、カメラワークも合っているし。パッケージやブックレットの雰囲気もぴったり。これは、もうちょっと何とかすれば1つのディスクに収まっていたんではないか?と思ったりもするけれど、まぁいいか。

ただね、やっぱり5人じゃないってのは単純に寂しいわけです。Bernie LeadonとRandy Meisnerが参加していた初期の時代よりも、彼らの代わりに、「On The Border」から参加したDon Felderと、「Hotel California」とベスト盤の後に参加したTimothy B. Schmitが加わって、初めて『5人揃って、ギター戦隊イーグルスッ!』だと思って来たから。


それが前作のベストアルバムをリリースする前に、マネージメント問題で揉めていたDon Felderがバンドを後にしてしまいました。StonesにおけるBill Wymanのように、一見、一番寡黙な存在が外れがちなのが、バンドっつー組織なんざんしょーか。いつまでもこの話題引っ張るのも辛いが、それはAmazonのレビューで「Hell Freezes Over」を素直に褒めまくった一人のファンとして、偽らざる心境。

だからでもあるんだろうけど、サポートメンバーが充実している。ホーンセクション4人はまぁいいよ、あり得るから。キーボード2人もいいでしょ、テイストの違うのを左右に振り分けて。ただ、何で若いドラマーとギタリストがあんなにカメラ前で活躍するかな。

メンバーのパフォーマンスはいいできだとは思う。Don Henleyは、新曲でも台詞がもたつかずにスムーズに出ているし。ただ、ぱっと見の印象が「ホリエモンの親戚のおっちゃん」みたいじゃん。「The End Of The Innocence」の時の、ブックレットの中が一番格好良かった時代かね。
Glenn Freyは、相変わらず甘いメロディーラインと歌声とは裏腹に、演奏中にシクシクと痔でも痛み出したかのような切ない表情と姿勢の悪さ。チェックのシャツ、誰か止めなかったのか?
そのパンツはファンキーなパジャマかよ!と突っ込みたいJoe Walshは、段々「宇宙家族ロビンソン」のDr.Smithに見えてくるな。しかしこのじーさま、しゃべりはもっさりしてるけれど、相変わらずギター持った時の冴えは凄いな。熊倉和男もびっくりだぜ、このすっとこどっこい。
Timothy B. Schmitは、自分の受け持つ割合が増えたことがそうさせたのか、心なしか前よりも自分を積極的に見せている気がした。だからって、わざわざ、サポートギタリスト側に自分からすり寄ってってまで掛け合いやることはないと思うけど。


Joeとのギターソロの掛け合いみたいな部分では明らかに、Don Felder不在な分、まんまサポートギタリストにスポット思いっきり当たりすぎ。パートの違いこそあれ、これまたStonesバンドでのDaryl Jones的な扱いとは違い過ぎ。
あと、力入りそうな曲は若いドラマーに任せて、Donは立ってパーカッションやってるのは、穿って見ればぬるさを感じる。しゃーないっちゃしゃーないけど、彼も痔なのだろうか? しかし、「歌うドラマーは大成しない。」という定説を見事に覆したのは、DonとRoger Taylorではなかったのか(つのだ☆ひろは別扱いとして)! 何だかちょいと寂しいぜ。


バンドが5人から4人になったとき、1人を補充するのか、4人としてやっていくのかは大きなポイントだろう。1人の首のすげ替えがうまく行ったとすれば、それはよほど相性の良い大成功か、最初からだれでもいい第5の存在だったのかもしれない。でも、4人に規模縮小なら、バックバンドがあるならあってもいいけれど、純粋に4人だけでも十分に観客を魅了するパフォーマンスを見てみたかった。消えた1人を思い出させる暇も無いほどに。


どこまでも盛り上がっても、頑なに席を立たない(というより立てないのかもな)観客がどんどん増えて行っているような気がするのは、アーティストの高齢化の影響で仕方ないところなんだろうけど、同時に、ボディーラインGoodな若い女性層も実は結構いて、音楽的な素晴らしさは世代を超えて受け入れられているという印象でした。