私のイッツ・マイ・ブルース

頭が回らない。本当に、何を考えても集中できない。耳から脳みそが緩くダラダラ流れ出て行った先で汚い水たまりのようになっている。
去年、iTunes Music Storeで買っていた曲の中に、一部がリピートされたりスキップされているミスデータを偶然発見。何度聞いても、曲全体がブチブチおかしい。それを思い出して後日iTunes Storeに報告。すると、再ダウンロードOKまでの待ち時間のお詫び?なのか、2曲分のチャージが発行された。
さて、何を買おう? 折角だから、iTunes Store-Jでしか取り扱いのない、シングルまたは一発ヒットのような曲をチョイスしたい。
と思って「歌謡曲」カテゴリなど開けば、中央に「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」のリンクがどーん! まさか、ダメ人間への「Just For You」じゃないよな。昔、Oさんがカラオケでシャウトしていたのを聞いて、「こんなキワモノを知ってるなんて、素敵だ!」と思った記憶がある。その後、オーケンの本で読んだのかな? 変なキャラが好む、やっぱりイロモノ系の曲かと思った。オリジナルジャケットを初めて拝んだら、目が合ってそのままポチッ。
とん平のヘイ・ユウ・ブルースicon

とん平のヘイ・ユウ・ブルース

とん平のヘイ・ユウ・ブルース

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
おふくろのおっぱいの味覚えてんのか?
捨てた女のホクロの数思い出せるか?
世の中すり鉢だよ
人生はすりこぎだお前 Baby
人生はすりこぎなんだよ
Oh My Babyこのブルースを聴いてくれ
(中略)
オレをすりこぎにしちまった奴
そいつは誰だ 誰だ 誰なんだ
Hey You Hey You What's Your Name?
Hey You Hey You What's Your Name?
作詞:郷伍郎、作曲:望月良道

かすかなホワイトノイズにかぶる、ホーンとストリングスのけだるいリフレインが昭和の場末な感じの闇を醸し出す。そこに、左とん平がシュールなフレーズを御大James Brownを彷彿とさせる程にシャウトする。タレントのギャグをきっかけにした形を取って、郷伍郎さん、一体、当時何があったんですか!?

信じられない…言葉が無い。四半世紀も前の曲が何でこんなにクールで、自分に深く染み入る訳? 自分の内側をえぐるようにこんなに響いてくるようになるなんて思わなかった。それはつまり、「おふくろのおっぱいの味」も「捨てた女のホクロの数」も忘れてしまって、顔も名前も分からない何かに「すりこぎにされちまった」ことを、シャウトせずにはいられないことが、そのまま分かる自分になってしまったからなんだな。キワモノだイロモノだとしか感じられなかったなんて、俺が甘かったよ、とん平。

どこまでも、ブラックでソウルフルじゃないかい。ここ数日、心のマイヘヴィーローテーション。フルボリュームで。大丈夫、少し疲れているだけなんです、涙流さず泣ければいいんです。ぜひ、この路線で「昭和ブルース」や「一番星ブルース」あたりもiTunes Storeで。