Tear could tear us apart

21年前のU2のライブ音源「Live from Paris」がリリースされた。
The Joshua Tree Tourのライブがなぜ今頃?と思いつつよくよく調べれば、去年後半リリースされた「The Joshua Tree」デジタルリマスター盤デラックスエディションに付属していたDVD映像と同じ音源。パリのヴァンセンヌ競馬場で1987年7月4日に行われたライヴだ。

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おっと、買っただけで安心して見ていなかったことを思い出す。遅まきながらプレイ。
「I Will Follow」から始まって、"Bon Soir"と言うだけで盛り上がる「I Still Haven't Found What I'm Looking For」を経て、リベラシオンのお国柄らしく「The Unforgettable Fire」や「Sunday Bloody Sunday」が激しく盛り上がる。そしてアメリカ独立記念日に歌われる「Bullet the Blue Sky」。


ところが、DVDも終盤に差し掛かったとき、信じられない衝撃のシーンが!
16曲目「With or Without You」の演奏中、後半5:20で何とBonoがバンドに演奏を中断させてしまう。


「止めろ。」
「演奏を止めろ。」


メンバーの演奏も、リズムマシンも全てストップ。


U2のコンサートでトラブルはゴメンだ。」
「誰も傷ついて欲しくない。誰にも。俺たちも傷つく。」


ステージ上のカメラワークは、Adamの左奥からしか撮影されていないので、会場の様子は分からないが、どうやらどこかのバカが催涙ガス(!)をまき散らしたらしい(ライトを浴びているステージからも、何かのガスだと分かったほど異常だったということ?)。軽い悲鳴が上がっていたのは、演奏がストップしてしまったことだけではなかったのかも。


「何てこった、催涙ガスだなんて…」
「涙は、この歌の中だけで十分だ。」


Edgeがなだめに入るほどBonoは静かに怒る。その後、途切れたメロディーの途中から何とか繋ぎ直し(うーん、流石プロ)、"Love will tear us apart"を絡めながら、エンディングを迎える。tear gasからtear apartなんて。この絡みの演奏は、ひょっとしてアドリブだった?とも思えたが、もしそうならできすぎ。


このDVD映像にこのトラブルの様子がそのまま収録されていたぐらいだから、音声データやCDにも同じように入っているんだろう。この異常事態と、それを巡るやり取りまで含めて1つということなのかな。


でもね、私はこの残念な部分が入った状態で何度も聞くのはちょっとイヤ。なので、キャプチャーした音からトラブルの箇所を何とかトリミングして、ただ自然に繋ぐためだけにFinal Cut Proまで使ったのでした。


でも、ここで何があったかは、この時の演奏を聞けば必ず思い出すだろうし…。そう、ガスなど使わなくとも、愛故に二人が引き裂かれることもあるのです。
たとえ超レアにAdamが歌っていたとしても…。