落日

混雑したレーンを走る
同じ方向に
同じ速度で向かう群衆の
点と線


煽られても
割り込まれても
気にかけないふりをしてみる
ただ
窓を開けても
殺気が抜けないだけ
クラクションに意味は無い


2つ先のブレーキランプを
手前のカーブを
峠の向こうを
開いた目で何も見ない


スピードを恐れて
踏むブレーキと
死をイメージして
踏み込むアクセル
渋滞を抜けても
何も変わらない


間違ったことに気づくまで
道を迷いもせず


どこにもありはしない
どこにも居ることはない
そういいながら
どこまでもだらしなく続く
火照ったアスファルト