歩いてきたから、歩いていく

靴が派手に壊れた。

本屋の階段を下りると、妙な感触が足の裏に残る。ふと、靴の裏を見ると、靴底が完全に裂けていた。ここまで派手な「バースト」は見たことがない。しかも左右両方。今まで気づかなかったなんて、いかにこの靴で歩いていなかったか。

数年前、Londonで新年に買ったClarksの黒い革靴は、適度な重さがあって、Regalほどすっきりしたデザインに収まらない自分の足には馴染んでいた。そんなに高価でもチープでもなかったはずなのに。自然劣化というより、疲労断裂。

第2の足の裏は、硬いアスファルトを歩くときにも、しっかりと衝撃をガードしてくれていた。少しずつ、その体をすり減らしながら、体を運んでくれた。あの人に会うために、あいつらから逃げるために、行ったところもあれば、行かなかったところもあったはず。

夜中の雨を、足裏にぐずぐず感じながら通りを歩く。
ソールにソウルを試された夜。