愛の抜け殻ブックオフ♪

ブックオフの店内に入った瞬間の、あの何とも言えない臭い。新書の書店とも、古書店とも違う。むしろ、薄汚いラブホテルの臭さや、すえた大衆浴場のロッカー、夜明けの中洲にも似た息苦しさ。

レアなアイテムを探しに行っている?安かったら欲しいものがある?要らないものと欲しいものを交換に来ている?飲み屋でなくパチンコ屋でもなく群れる場所が欲しいだけ? どれもちょっと違う気がする。

これをAmazon.co.jpで買ったら?Amazon.comなら?iTunes Music Store-Jなら?iTunes Music Store USでは? 小ずるく計算しているつもりでも、結局、それが本当にどうしても欲しいのかどうかも分からなくなる。

一応「アーティスト」や「小説家」呼ばわりされている種類の音楽や本の、同じ背表紙がいくつも並んでいる光景を目にすると、大量に消耗されていったモノの墓標の真ん中に立っているような感覚に襲われる。

そう、この臭いは死臭。そしていつの間にかそれにも慣れている。死臭を嫌いながらも、死肉を喰らいに行き、欲しいものはどこへ行けば見つかるのか探し続ける。